ガールズバー・キャバクラを個人経営から法人化(法人成り)したい場合の流れ
最初は個人でガールズバーやキャバクラなどの営業を開始して、お店の経営が軌道に乗ってきた段階で法人成りを考える営業者さんは多いです。
今回は個人で申請した方が法人に切り替える場合の手続きの流れと、法人化することのメリットについてお話させていただきます。
風俗営業許可で営業していた場合と深夜酒類提供飲食店営業として営業していた場合、どちらも手続き上は名義変更という概念が存在しないため、法人設立後一度個人で申請したものを廃業してから法人としての営業を新規で開始することになります。
飲食店営業許可に関しては営業所を管轄している保健所、風俗営業許可や深夜酒類提供飲食店営業については営業所を所轄している警察署が申請・届出先です。
それでは詳しく見ていきましょう。
先に保健所で飲食店営業許可証を法人に切り替える
警察署に申請・届出をする際に添付書類として飲食店営業許可証を求められます。
つまり、この飲食店営業許可証の名義が個人のままでは警察署は法人申請を受け付けてくれません。
そのため、警察よりも先に保健所の手続きを済ませておく必要があります。
保健所はわりと融通がきくところが多く、個人の廃業届がまだ出ていない状態でも新規の申請を受け付けてくれたりします。※こんなところばかりとは限りませんので、念のため営業所を所轄する保健所にご確認ください。
通常通り飲食店営業許可申請をして所轄担当の方に検査に来てもらい、設備に問題がなければ許可が下ります。
法人での申請ですので申請書には法人番号を記載する必要があります。
警察へ申請する際には法人の履歴事項全部証明書が必要になりますので、あらかじめ法務局で取得しておくとよいかもしれもせん。
注意しなければならないのが令和3年の6月より食品衛生法改正の影響で施設の設備基準が変更になっている点です。
シンクの必須個数や消毒液の固定義務、お湯が出なければならない等の基準がなくなったおかげで前よりも緩くなったイメージがありますが、逆に厳しくなった基準もあります。
それは従業員用手洗いについてです。
以前は「従業員用手洗いには消毒液を設置すること」が条件でしたが、その条件がなくなった代わりに「従業員用手洗いはレバー式や自動洗浄式でなければならない」という条件がつきました。
これは手指の再汚染を予防するために新しく出来た基準のようですので、レバー式の場合は手指を使わず肘などで操作出来なければいけません。
個人で申請されていた時に前の基準で営業許可が下りていた場合、手洗いがレバー式や自動洗浄式でない可能性が高いのであらじめ確認し、必要があれば替えておきましょう。
また、スイング扉などで調理場と客室が明確に区切られているかどうかのチェックも必要です。
保健所の検査担当の方に来てもらい無事に設備要件をクリアしてOKが出た段階で許可が下りますが、飲食店営業許可証の発行までは一週間程度かかります。
許可証が出来て保健所に取りに行く際、個人で営業していた時の飲食店営業許可証と廃業届も一緒に持っていきましょう。
保健所の飲食店営業許可に関してはこれで法人化手続きが完了となります。
保健所が済んだら警察署で法人化の手続きをする
警察の場合は保健所と違い、個人で営業していた時の廃業届(又は返納理由書)が提出されていないと新規の受付をしてもらえないことが多いです。
ただし設立された法人が1人法人でかつ、会社の代表者が個人の時に営業していた者である場合には、法人での許可が下りたあとに廃業届を出してくれれば大丈夫と言ってくれるところもあります。
営業所を所轄している警察署はどのような対応を取っているのかあらじめ確認しておきましょう。
もし受け付けてくれない場合には先に廃業の手続きをする必要があるため、深夜酒類提供飲食店営業で営業をされていた場合は廃業届を、風俗営業許可を受けて営業をされていた場合は返納理由書、風俗営業許可証、風俗営業管理者証を出します。
その後は通常通り新規の申請・届出と全く同じ流れです。
法人申請の場合は個人の時には必要のなかった法人の履歴事項全部証明書、定款の写し、役員分の住民票、役員分の身分証明書(風俗営業許可申請の場合のみ)が必要になるので用意しておきましょう。
また、個人で申請・届出をした時の控えがあればその時の図面などを参考に書類を作成することが出来るので非常に便利です。
深夜酒類提供飲食店営業の場合は届出後10日後から、風俗営業許可の場合は約50日前後で営業可能となります。
これで警察署での法人化手続きが完了となります。
法人化することでどんなメリットがあるのか
個人で営業をしている場合だと、誰かに営業を譲渡したくなった時に一度廃業手続きをしなければ新しい営業者が新規でお店を始めることが出来ませんでしたが、法人で営業をしている場合は譲り渡したい相手が現在の法人代表とチェンジすることで営業を譲渡することが出来ます。
つまりは廃業や返納をすることなく、代表者の変更届を出すだけで営業の譲り渡しが完了してしまうのです。
代表者の変更届は変更後20日以内に所轄警察署に対して届出すればOKで、添付書類も新代表者に関する書類だけで足りるので非常に簡単です。
申請・届出から営業が出来るようになるまで待つ必要もなくなるため、スピーディーに手続きを済ませることが出来ます。
また、個人と比較して法人は信用力も上がるため、契約や取引を行う際は有利です。
そして昨今はコロナの影響もあり、持続化給付金、家賃支援給付金、東京都感染拡大防止協力金、月次支援金などの制度がありましたが、個人に対しての給付額よりも法人に対しての給付額の方が圧倒的に多く、法人であることで給付額が二倍以上変わってくるケースもありました。
このように、法人化した状態で営業をすることには様々なメリットがあると言えるでしょう。
最後に
個人から法人に切り替える場合は通常の申請・届出よりも手続きが複雑になります。
上手に切り替えて出来るだけ早く営業を行いたい場合は風営法を専門にしている行政書士に依頼するのも手です。
具体的な手続きの流れなど、わからないことがございましたらいつでもご相談に乗らせていただきますので、ぜひお問い合わせくださいませ。
今回もお読みいただきありがとうございました。