マッチングアプリを悪用したぼったくりバー摘発――風営法違反が問われる背景と課題
1.事件概要
先日、マッチングアプリを利用して客を呼び込む手口で営業していた歌舞伎町の「ぼったくりバー」の従業員ら4人が、風営法違反の容疑で逮捕されました。本記事では、この事例を通じて風営法の適用範囲、摘発の背景、そして法的な課題について解説します。
2.ぼったくりバーの手口
最近摘発されたぼったくりバーの特徴として、マッチングアプリを悪用した誘客手法が挙げられます。この手口では、出会いを求めるアプリ利用者をターゲットに、女性従業員がアプリを通じて客を誘い出し、店舗へ案内する形が取られていました。一見すると新しい手段のように見えますが、これはかつての繁華街での客引きやナンパをデジタルツールに置き換えた、古典的な方法の延長とも言えます。
誘導された客には、法外な料金設定による高額な飲食代やシステム料金が請求されるケースが多発しています。また、支払いを拒もうとした場合、執拗な要求や強引な取り立てが行われることもあるため、客が逃げ場を失う状況を意図的に作り出しているのも特徴です。こうした手法は悪質であり、消費者被害が絶えない理由となっています。
3.風営法の観点から見る違反内容
今回逮捕されたぼったくりバーにおける他の問題点としては、風営法に違反する無許可営業が行われていた点です。飲食店としての営業許可しか得ておらず、実際には女性従業員が客を接待する行為が確認された場合、風営法上の「接待行為」に該当します。このような営業形態には風俗営業許可が必要ですが、これを取得していない場合は風営法違反となります。今回の逮捕も、無許可営業による風営法違反での摘発が原因です。
4.逮捕に至る背景
こうしたぼったくりバーの存在が表面化した背景には、消費者被害の多発が挙げられます。料金トラブルに巻き込まれた利用者からの通報が警察に多数寄せられたことで、捜査が本格的に進められることとなりました。また、ぼったくり行為が繁華街で繰り返される中、地域住民や自治体からの要請を受けて、警察が風営法違反の取り締まりを強化していたことも摘発につながった要因かと思われます。
特に近年では、デジタルツールを利用した手口が増加しているため、従来の取り締まり手法だけでなく、新たな監視体制の構築が進められています。この事例は、古典的なぼったくり手法が現代的な形で進化していることを示しており、取り締まり側にもさらなる対策が求められています。