許可なし営業の末路|風営法違反で起こる最悪のシナリオ

風俗営業を行うためには、風営法に基づいて適切な許可を取得する必要があります。しかし、「手続きが面倒」「コストを削減したい」といった理由で許可を取らずに営業を始めてしまう事業者が少なくありません。しかし、無許可営業は大きなリスクを伴い、最悪の場合、営業停止や罰則だけでなく、事業の存続そのものが危ぶまれる事態を招きかねません。

本記事では、風営法違反が引き起こす最悪のシナリオを具体的に解説し、合法的に営業を続けるための対策をご紹介します。


風営法違反で起こる最悪のシナリオ

1. 行政処分と刑事処分

風営法に基づき、無許可営業が発覚すると営業停止命令なども行政処分が下されるだけでなく、懲役や罰金などの刑事処分が科されることがあります。具体的には、以下のような罰則があります。

  • 2年以下の懲役または200万円以下の罰金又はこれの併科
  • 営業停止命令
  • 罰則を受けてから5年間は風俗営業許可申請不可

営業停止命令が出されれば、店舗は閉鎖され、再開するには改めて許可を取得する必要があります。ただ、無許可営業による違反歴などがあると罰則を受けてから5年間は風俗営業許可申請を行うことが出来なくなるので、営業再開までに大幅な時間とコストがかかることになり、実質廃業するしかなくなってしまいます。

風営法第4条第1項第2号に「一年以上の懲役若しくは禁錮の刑に処せられ、又は次に掲げる罪を犯して一年未満の懲役若しくは罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しない者」に対しては、許可を出せない旨の記載があり、無許可営業による罰則を受けた者に対しても許可を出してはならないことになっています。


2. 暴力団や半グレの介入

無許可営業の店舗は、法的保護を受けることが難しいため、暴力団や半グレといった反社会勢力に狙われやすい傾向があります。具体的には以下のようなリスクがあります。

  • みかじめ料の要求
    「無許可で営業させてやる代わりに金を払え」という形で金銭を要求されるケース。無許可営業を継続する限り、その弱みを握られてしまうので注意が」必要がです。
  • トラブル解決の名目での介入
    顧客や従業員とのトラブルに付け込み、強引に店舗運営に関与されることがあります。

こうした介入を受けると、営業そのものが反社会勢力に支配される危険性があり、最悪の場合、事業者自身が法的責任を問われる可能性もあります。風営法違反による罰則だけでなく、暴対法違反による罰則の追加されてしまうため、更に罪が重くなってしまいます。


3. 信用の失墜と事業継続の困難

無許可営業が発覚すると、地域社会や顧客からの信用が一気に失われます。特に以下の影響が顕著です。

  • 従業員の離職
    違法な環境で働くことに不安を感じた従業員が辞めるケースが多発。従業員との信頼関係がなくなってしまうため、指示にも従ってくれなくなるケースが考えられます。
  • 顧客の減少
    無許可営業の発覚が報道されると、店舗への信頼が失われ、顧客離れを引き起こします。
    ネットで実名や写真を長期間晒される可能性もあるため、営業が難しくなります。
  • 取引先の断絶
    物件オーナーや取引業者が契約解除を通告する場合もあり、営業が困難になります。
    新規でネット広告を掲載しようとしても断られるケースがあります。

一度失った信用を回復するのは極めて難しく、事業の継続そのものが危機にさらされます。


4. 競合他社や近隣住民からの告発リスク

無許可営業が発覚する原因の一つに、競合他社や近隣住民からの告発があります。違法営業をしている店舗が合法的に営業している他店舗に影響を与えたり、近隣住民に迷惑をかけたりすることで、次のような状況を招く可能性があります。

  • 競合他社からの通報
    無許可営業による不公平な競争に不満を持った競合他社が、警察や行政に通報するケースがあります。
    なかには、もともと店舗で働いていた従業員が不満を持って退職した後に、仕返しで通報するケースもあります。
  • 近隣住民からの苦情
    深夜の騒音や店舗周辺のトラブルが原因で、住民から警察や自治体に苦情が入る場合も多いです。
    学校の通学路でもあるような場所で、いかがわしい営業を行っていたため警察に苦情が入り、その後警察が調査した際に無許可営業が発覚したケースもあります。

これらの告発がきっかけで警察が動き、無許可営業が発覚することは珍しくありません。結果的に営業停止や罰金などの処分を受け、店舗運営が困難になる可能性があります。


無許可営業を避けるためにすべきこと

1. 必要な許可を正確に把握する

まず、自分の事業にどの許可が必要なのかを正確に把握することが重要です。風俗営業許可、特定遊興飲食店営業許可、深夜酒類提供飲食店届出など、業態によって求められる手続きが異なります。

おすすめの方法

  • 管轄警察署に相談する。
  • 行政書士などの専門家にアドバイスを求める。

    キャバクラ、ガールズバー、スナック、コンカフェなど、様々な名称が用いられていますが、これらの許可は名称によって分かれているわけでなく、営業の実態に応じて適切な許可を取得する必要があります。

2. 書類の準備とスムーズな申請手続き

風俗営業許可の申請には多くの書類が必要です。特に、営業所周辺の略図や店舗の求積図、申請者や管理者の誓約書など、不備があると審査が遅れる原因になります。
風俗営業許可の場合は、申請の数週間後に警察と浄化協会による店舗実査が行われ、営業所が図面通りになっているかや、構造や設備などに問題がないか細かくチェックされます。
この時に少しでも不備があると、差し替える書類を準備し改めて警察署に出向かなくてはいけなくなったり、あまりにも不備が多い場合には申請を取り下げるよう要求されることもあります。
そうなると、一度警察に提出した書類は返却してもらうことが出来ません。また、住民票や所有者の使用承諾書などの申請書類をはじめから準備しなければならず、その間も店舗のテナント料などのランニングコストもかかり続けるため、結果的に行政書士に依頼するよりも遥かに高くついてしまう可能性が高いです。
専門家に依頼することで、不備のない書類を短期間で準備することが可能です。


3. 法律を遵守した運営を徹底する

風俗営業を継続的に行うためには、営業許可を取得した後も、法律を遵守しながら運営することが不可欠です。風営法には、店舗の構造、営業時間、従業員管理など、細かな規定が定められており、それらを違反すると営業停止や罰則の対象となります。以下に、法律を遵守するための具体的なポイントを解説します。


1. 店舗の構造や営業内容の適正管理

店舗の構造や営業内容が、許可申請時の内容から変更されていないかを定期的に確認しましょう。例えば以下のケースでは、事前に構造変更承認申請が必要になります。

  • 大規模な修繕または模様替えに該当する変更
  • 客席の増設や、壁やふすまなど営業所内部を仕切るための設備の変更
  • 営業の方法の変更に係る構造又は設備の変更

これらを無申請で実施すると、無承認の構造変更とみなされ、「1年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金又はこれの併科」など厳しい処分を受けることがあります。計画段階で変更内容を警察に相談し、事前に申請手続きを行うことが重要です。


2. 許可された範囲内での営業

風営法では、営業内容や営業時間に制限が設けられています。許可を取得したからといって、すべてが自由にできるわけではありません。具体的には

  • 営業時間の遵守
    風俗営業では、地域によって異なりますが、深夜0時以降の営業が禁止されています。
    営業延長地域と呼ばれる地域(繫華街などに多いです)では深夜1時まで営業が可能です。
  • 客引き行為の禁止
    風俗営業では、客引きをすること及び客引きをするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうことは禁止されています。

違反があった場合、警察や第三者からの通報によって発覚することが多く、営業停止に直結します。定期的に営業内容を見直し、適正な運営を心掛けることが必要です。


3. 従業員の教育と管理

従業員の行動が原因で違反が発生するケースも少なくありません。特に新しいスタッフやキャストには、風営法の規定や許可の範囲について十分に教育を行いましょう。

  • 法律に違反するような接客をしないよう、具体例を示して説明する。
  • 法令遵守に関する研修を定期的に行い、スタッフ全員が同じ認識を持てる環境を整える。
  • 違反行為やトラブルが疑われる場合は、管理者や経営者が迅速に対応し、再発防止策を講じる。

教育体制を整えることで、店舗全体のコンプライアンス意識が高まり、違法行為を防ぐことができます。


4. 警察との適切な連携

営業許可を取得している店舗でも、警察による抜き打ち調査が行われることがあります。この際、以下の点を準備しておくことで、スムーズに対応できます:

  • 許可証や風俗営業管理者証、従業員の名簿などを常に整理し、提示できる状態にしておく。
  • 警察からの指導や質問に対して迅速に対応し、不備があればすぐに改善策を講じる。

また、疑問点や変更事項がある場合には、警察署の生活安全課に事前相談を行い、アドバイスを受けると良いでしょう。


5. 法令遵守がもたらす長期的なメリット

法律を守ることで、罰則を避けられるだけでなく、店舗の信頼性を向上させることができます。顧客や従業員からの信頼を得ることで、事業が安定し、地域社会との良好な関係を築けるのも大きなメリットです。風俗営業を長期的に成功させるためには、許可取得後も風営法を徹底的に守り、適切な運営を続けることが必須です。

専門家に依頼して安心のスタートを

風俗営業許可の取得は手間がかかるため、自分で手続きするのは大きな負担になることがあります。行政書士などの専門家に依頼すれば、必要な書類の作成や申請手続きをスムーズに進めることができます。

専門家に依頼するメリット

  • 書類作成の手間を軽減できる。
  • 不備やミスを防ぎ、最短で許可取得を目指せる。
  • 営業リスクの相談やアドバイスを受けられる。

まとめ

無許可営業は、営業停止や罰金刑、信用の失墜、暴力団の介入といった多くのリスクを伴います。最悪の場合、事業の存続が危ぶまれる事態に発展することもあります。これを避けるためには、風営法を正しく理解し、適切な許可を取得して合法的に営業を始めることが不可欠です。

当事務所では、風俗営業許可や関連手続きのサポートを専門に行っています。無許可営業のリスクを回避し、安心して事業をスタートしたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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