風俗営業と暴力団の関係|過去から現在までの実態と対策

風俗営業は、かつて暴力団の主要な資金源とされてきました。「みかじめ料」や「花代」、「熊手」などの名目で金銭を要求されることが一般的で、多くの店舗が暴力団との関係を断ち切れない状況にありました。しかし、現在では暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴対法)の施行や警察の取り締まり強化により、暴力団による直接的な介入は減少しています。

それでも、無許可・無届で営業している店舗は今もなお暴力団や半グレに狙われやすく、暗黙の圧力を受けるケースが後を絶ちません。本記事では、風俗営業と暴力団の関係を歴史から振り返り、現在の実態や無許可営業のリスク、そして適切な対策について詳しく解説します。


暴力団と風俗営業の関係の歴史

かつて暴力団は、風俗営業を資金源の一つとして利用していました。その典型的な手口が「みかじめ料」の要求です。みかじめ料とは、「地域の安全を守る」や「トラブルを解決する」といった名目で風俗店から徴収される不当な金銭のことです。要求を拒否すれば営業妨害や嫌がらせを受けるため、多くの店舗が仕方なく支払っていました。

さらに、「花代」や「熊手」などの名目を使った金銭要求も一般的でした。花代は祝い事やイベントを口実にした寄付金のような形で暴力団に資金が流れる手法であり、熊手は縁起物として暴力団が高額で販売する手口です。いずれも店舗が拒否しにくい形で金銭を引き出す典型例でした。


無許可営業が招くリスク

特に無許可・無届で営業している店舗は、暴力団や半グレにとって格好のターゲットとなります。無許可営業の店舗は法的に守られにくいため、以下のような状況を招きやすいです。

1. 法的保護を受けられない

無許可営業は違法行為であるため、トラブルが発生しても警察に相談しにくいという弱点があります。この弱みを暴力団や半グレに付け込まれ、金銭要求や営業圧力を受けるケースがあります。

2. 闇社会への依存

行政手続きや営業許可の取得を避けるために、裏ルートで解決を図ることが増えると、その過程で暴力団や半グレと接点を持つリスクが高まります。最初だけの付き合いのつもりでも、気が付いたら抜け出せない関係性になっていることが多いです。

3. 孤立した営業環境

無許可営業の店舗は正規のビジネスネットワークや地域社会から孤立しがちです。この孤立した状況が暴力団や半グレによる介入を容易にします。許可を取得して適正に営業を行っている他店舗とのコミュニティを強化し、常に情報交換を行うことで、暴力団や半グレが入りこむ隙をなくすことも重要です。


暴力団対策法の施行と半グレ化

1992年に施行された暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴対法)は、暴力団によるみかじめ料や金銭要求を違法とし、取り締まりを強化する大きな転機となりました。また、全国で施行された暴力団排除条例により、正規の店舗では暴力団の影響を排除する動きが広がっています。

しかし、暴対法の施行以降、暴力団は直接的な介入を避けるため、「半グレ」と呼ばれる非組織的な若者グループを利用したり、自ら地下に潜伏する形で活動を続けています。彼らは合法に見せかけた取引を装いながら、次のような手口で風俗営業に関与しています。

  • 名義貸しを持ちかけて高額な手数料を請求
  • 顧客や従業員とのトラブル解決を口実に金銭を要求
  • 用心棒代など、無形サービスの押し売り

こうした手口は巧妙化しており、店舗が気付かないうちに深い関係を築かれるリスクがあります。


暴力団や半グレと関わらないための対策

風俗営業を安全に運営するためには、暴力団や半グレと関わらないようにすることが最も重要です。以下の対策を実施しましょう。

営業許可を取得する

無許可営業の店舗は特に暴力団の介入を招きやすいため、風俗営業許可や深夜酒類提供飲食店届出など、必要な手続きを確実に行い、法的に保護される環境を作ることが大切です。警察署で適正な手続きを行うことで、警察にお店の存在を認知してもらえ、時々店舗に見回りに来てくれることもあります。また、申請を行い警察との面談も済ませていると、営業者は誰で管理者は誰なのか、賃貸契約はどうなっているのか、店舗の位置や構造はどうなっているのかなどの情報が警察もある程度把握出来ている状態なので話が早いです。

不当な金銭要求を拒否する

みかじめ料やその他の金銭要求には、毅然とした態度で拒否しましょう。要求があった場合は証拠を記録し、警察に相談することを徹底してください。最初の一回だけ払ってしまえば大丈夫だろうなどと考えてはいけません。金銭を支払うことは、暴力団への資金提供とみなされ、支払った側も違法となってしまいます。また、暴力団もそのことを理解しているため、あとからそのことにつけこまれて、さらに搾取されるリスクが高くなります。

店舗運営における透明性を確保する

店舗運営を正規のルートで行い、違法行為や不透明な取引を排除しましょう。また、従業員や管理者に対しても暴力団排除条例の遵守を教育し、意識を高めることが重要です。従業員と雇用契約や業務委託契約を結ぶ際に、暴排条項を盛り込んでおくのも有効です。

警察や専門家に相談する

不安がある場合は、警察署の生活安全課や風俗営業専門の弁護士に相談しましょう。店舗を守るための具体的なアドバイスや支援が受けられます。


まとめ

風俗営業と暴力団の関係は、暴対法や暴力団排除条例の施行により大きく改善されてきましたが、無許可営業の店舗を中心に暴力団や半グレが依然として介入している状況が続いています。店舗を安全に運営するためには、営業許可を取得し、法的に守られる立場を確保することが最善策です。

また、不当な要求には応じず、疑わしい取引先が現れた場合は速やかに警察や専門家に相談しましょう。当事務所では、風俗営業許可など風営法に関する許可の取得サポートを行っています。安心して営業を続けられるよう全力でサポートいたします。

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