東京でマジックバーを始めたい!風俗営業許可と特定遊興飲食店営業許可の違いとは?

マジックバーは、飲食を楽しみながらテーブルマジックやステージマジックを鑑賞できる、エンターテイメント性の高い業態です。しかし、開業にあたっては「風俗営業許可」または「特定遊興飲食店営業許可」の取得が必要になる場合があります。さらに、営業形態によっては両方の許可を求められるケースもあり、その場合には「二部制営業」と呼ばれる形態を取らなければなりません。

本記事では、営業形態ごとにどの許可が必要なのか、二部制営業を採用する際の注意点やリスク、許可取得のポイントについて詳しく解説します。


マジックバーにおける許可の選択基準

風俗営業許可が必要な場合

風俗営業許可は、店舗内で「接待」に該当する行為を行う場合に必要です。風営法では「特定少数の客の近くにはべり、継続して、談笑の相手となったり、酒などの飲食物を提供する行為」「特定少数の客に対して、専らその客の用に供している客室又は客室内の区画された場所において、ショー、歌舞音曲などを見せ、又は聴かせる行為」「特定少数の客と共に、遊戯、ゲーム、競技等を行う行為」などを接待と定義しており、テーブルマジックを行うマジックバーはこれに該当する可能性が高いです。

たとえば、以下のような営業スタイルでは風俗営業許可が求められる場合があります:

  • マジシャンが客席を回り、テーブルでマジックを披露する場合
  • 顧客との会話を交えながら親密な交流を図る形でのパフォーマンス

こうした営業形態では、接待行為とみなされる可能性があるため、風俗営業許可を取得しておくことが無難です。


特定遊興飲食店営業許可が必要な場合

特定遊興飲食店営業許可が必要なのは、深夜0時以降も営業を続ける場合や、店舗内で「遊興」に該当する行為を提供する場合です。遊興には、演奏やダンス、ショーなどが含まれます。

たとえば、次のような場合は特定遊興飲食店営業許可を取得する必要があります:

  • ステージを設置し、深夜0時以降に不特定の客に対してマジックショーを行う場合
  • 深夜0時以降に不特定の客に対して演出を伴うエンターテイメントを提供する場合

深夜帯に上記のような営業を行う場合、この許可を取得しておけば、時間制限を気にせずショーを楽しんでもらえる環境を提供できます。ただし、営業可能な地域が限られていたり、店舗構造が厳しい基準を満たす必要があるため、計画段階から注意が必要です。


両方の許可が必要な場合と二部制営業の注意点

営業形態によっては、風俗営業許可と特定遊興飲食店営業許可の両方が必要になるケースがあります。たとえば、次のような場合です:

  • 深夜0時まではテーブルマジックで接客(風俗営業許可が必要)
  • 深夜0時以降にステージでショーを行う(特定遊興飲食店営業許可が必要)

このような場合、「二部制営業」を採用する必要があります。二部制営業では、営業形態を切り替える際に、顧客や接客従事者を完全に退店させる必要があります。また、別会計で営業しなくてはなりません。営業を完全に終了させた後に、新たな営業形態を始めるという明確な区分が求められ、これを怠ると許可違反とみなされるリスクがあります。

さらに、二部制営業を行う店舗は警察の監督が特に厳しくなる傾向があります。警察が頻繁に店舗を訪問し、許可内容に沿った営業が行われているか確認する場合も多いため、常に適法な運営を心掛ける必要があります。


許可取得のポイントと注意点

人的欠格事由に該当していないか確認する

風俗営業許可や特定遊興飲食店営業許可では、申請者が「人的欠格事由」に該当していないことが重要な条件となります。以下のような場合、許可が下りない可能性があります。

  1. 未成年者の場合
     申請者が18歳未満の場合、風俗営業許可や特定遊興飲食店営業許可を取得することはできません。
  2. 犯罪歴がある場合
     過去5年間に風営法や刑法の特定の規定に違反し、罰金刑以上の処分を受けた場合は欠格要件に該当します。
  3. 暴力団員やその関係者の場合
     申請者自身が暴力団員である、もしくは過去5年間に暴力団員であった場合、または暴力団との関係が認められる場合は許可が下りません。
  4. 破産者で復権を得ていない場合
     破産者で復権を得ていない場合も欠格要件に該当し、許可取得が困難となります。
  5. 管理者が欠格要件に該当する場合
     店舗の管理者として選任した人が欠格要件に該当している場合も許可が下りません。管理者も慎重に選任する必要があります。

    詳しくはこちらに記載しております。人的欠格事由

営業地域が限られている点に注意

風俗営業許可や特定遊興飲食店営業許可は、営業可能な地域が用途地域によって制限されています。学校や病院、保育園の近くでは営業が禁止されており、特に特定遊興飲食店の場合は下記の地域でしか営業出来ないので注意が必要です。

1.東京都公安委員会規則5条により東京都公安委員会が公示する地域(いわゆる営業延長許容地域)

2.近隣商業地域のうち、港区六本木四丁目から同区六本木七丁目までの地域

3.東京湾の一部

事前に自治体の用途地域マップや行政書士に確認を行い、予定している場所が営業可能かを確認することが重要です。


店舗の構造基準を事前に確認する

特定遊興飲食店営業許可では、客室面積や照明の明るさについてなど細かい基準が設けられています。また、風俗営業許可でも、店舗の間取りや客席面積などが基準を満たしていないと許可が下りません。申請の前に店舗がこれらの基準を満たしているかを確認し、必要であれば改修を検討する必要があります。
以下は風俗営業許可より厳しい基準である特定遊興飲食店営業の構造基準です。

1.客室の床面積は、一室の床面積を33㎡以上とすること
客室面積が確保出来るようにあらかじめ広い店舗を借りたり、客室面積が33㎡に満たない場合は工事を施して客室を拡張する必要があります。

2.客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと
客室内に1mを超える壁や間仕切り、観葉植物などの障害物は設置出来ません。

3.善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害し、又は少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと
いかがわしい写真や物品などは置かないようにしましょう。

4.客室の出入口に施錠の設備を設けないこと。ただし、営業所外に直接通ずる客室の出入口についてはこの限りでない
ぼったくりバーなどが、顧客を客室に閉じ込めることを予防するためにこのような措置が取られています。

5.第95条に定めるところにより計った営業所内の照度が10ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること
10ルクスとは、だいたい劇場や映画館で休憩時間中の明るさです。また、客室照明は調光器(スライダックス)などで明るさを調整することが認められておりませんので、スイッチ式に交換するか、明るさを調整しても10ルクスを下回らないよう工事を施しましょう。

6.第32条に定めるところにより計った騒音又は振動の数値が法第31条の23において準用する法第15条の規定に基づく条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること
風俗営業・特定遊興飲食店営業において守るべき騒音・振動の基準があります。
東京の場合は検査時にチェックされることはほとんどありませんが、条例などで事前に確認しておきましょう。


警察署での事前相談を活用する

営業許可の取得に不安がある場合は、店舗所在地を管轄する警察署の生活安全課で事前相談を行いましょう。特に二部制営業を計画している場合は、事前に警察から指導を受けることで、スムーズに許可取得が進む可能性が高くなります。また、風営法を専門にしている行政書士への相談も有効です。


まとめ

マジックバーの開業に必要な許可は、営業形態によって異なります。テーブルマジックを中心とする場合は風俗営業許可、深夜0時以降にステージショーを行う場合は特定遊興飲食店営業許可が必要です。また、両方の許可を必要とする場合は二部制営業を採用し、営業形態を完全に切り替えるルールを守る必要があります。

営業可能な地域や店舗構造基準、人的欠格要件にも注意し、計画段階から適切な準備を進めましょう。不安がある場合は専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。当事務所では、風営法に基づく許可取得や店舗運営のサポートを行っています。安心して営業をスタートできるよう、全力でお手伝いいたします。

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