【風営法改正案】色恋営業禁止・罰則強化で風俗営業はどう変わる?事業者が知るべきポイント
NHKにて、風営法改正に関するニュースが飛び込んできました。来年国会に提出が予定されている風営法の改正案では、色恋営業の禁止や罰則の引き上げ、系列店の営業制限など、業界に大きな影響を与える規制が盛り込まれています。この改正案は、ホストクラブを中心に、客の恋愛感情に漬け込んでホストに依存させるなど、風俗営業の不当な営業手法を根本的に排除することを目的としているようです。色恋営業によって破滅への道に向かってしまう女性客の話がテレビやSNSなど色々なところで周知の事実となったこともあり、警察庁もいよいよ重たい腰をあげたようです。
本記事では、風営法改正案の概要と、これが事業者に与える影響、対応策について詳しく解説します。
改正案の主なポイント
1. 色恋営業の禁止
改正案では、女性客に恋愛感情を抱かせ、高額な請求や売掛金を負わせる「色恋営業」が明確に規制対象となりそうです。特にホストクラブでは、従業員が顧客を騙して支払いを強要する事例が多く報告されています。
想定される違反行為の例:
- 恋愛関係を装い、必要以上に高額な商品やサービスを購入させる。
- 売掛金の返済のために、顧客に性風俗店での勤務を強要する。
このような営業手法は改正後、罰則対象となるため、事業者は営業内容を見直す必要があります。
従業員が勝手にやったことなので・・・などという言い訳は通用しなくなる可能性が高いです。
ただ、色恋営業の定義には曖昧な部分が多く、通常の接客との境界線を明確にすることが困難です。たとえば、ホストの従業員が顧客に親身な態度で接し、楽しい時間を提供すること自体は通常の営業活動と見なされます。しかし、その接客が過剰に個人的な感情を利用するものとみなされた場合、色恋営業と判断される可能性があります。
具体的には、次のようなケースが境界線を曖昧にしています。
- 自然な親密さと意図的な感情操作の区別:顧客に好印象を与えるためのフレンドリーな接客と、恋愛感情を利用した商売の境目は非常に微妙です。
- プライベートとの線引き:従業員が営業外で顧客と連絡を取ることは許可される場合がありますが、それが営業目的なのか純粋な交流なのかを判断するのは難しい場面があります。
- 顧客の受け取り方の違い:従業員側に営業目的しかなくても、顧客が恋愛的な感情を抱いてしまう場合、色恋営業と誤解される可能性があります。
人の感情の曖昧さを、改正案ではどのように線引きするのか、非常に気になるところです。
2. 罰則の引き上げ
改正案では、罰則の最高額が従来の200万円から大幅に引き上げられる見通しです。また、悪質なケースでは懲役刑や営業許可の取り消しも適用される可能性があります。
強化される罰則の影響
- 小規模店舗では罰金や営業停止命令が経営破綻につながるリスクが増大。
- 違法行為の摘発が強化されることで、業界全体の適正化が求められる。
この罰則強化により、事業者はコンプライアンスの徹底が不可欠となります。、
3. 系列店の営業制限
今回の改正案では、営業許可を取り消された店舗だけでなく、その系列店や関連店舗の営業も制限される方針が示されています。特にホストクラブ業界では、多くの店舗がグループ単位で運営されており、法人の代表者を分けることで、いわゆる「許可の再取得」を容易にする仕組みが問題視されています。
例えば、ある法人が摘発されて営業許可を取り消された場合でも、別の法人名義で許可を取り直したりするケースが考えられます。これは、名義貸しに近い運用であり、実質的な脱法行為とみなされる可能性があります。このような運営形態を規制するため、改正案ではグループ全体に対して強い抑止力を働かせる狙いがあると言えるでしょう。
この規制が実施されれば、一店舗での違法行為が系列全体に波及するリスクが高まるため、事業者はより一層、適正な運営を心掛ける必要があります。また、運営体制や法人の管理方法を見直すことで、法令遵守を徹底し、業界全体の健全化に寄与することが求められます。
改正案が事業者に与える影響
風営法改正案により、風俗営業の規制がさらに厳格化されることは明らかです。特に、これまでグレーゾーンとされてきた営業手法が一切認められなくなるため、以下のような影響が予想されます。
- 従業員教育の重要性が増大
営業手法や接客スタイルが違法行為に該当しないよう、従業員への教育を強化する必要があります。 - 違法行為の未然防止が求められる
違法行為を未然に防止するため、経営者や風俗営業管理者による従業員の監視を強化したり、従業員との契約書の整備が不可欠です。 - 系列店のリスク管理
一店舗での違法行為が系列全体に波及するリスクがあるため、全店舗でのルール統一が求められます。
多くの店舗を抱えているグループ店の場合、経営者が各店舗の風俗営業管理者に対してあらかじめ指導をし、風俗営業管理者が各従業員に対して指導をするなどの工夫が求められます。
改正案に対応するためのポイント
1. 営業内容の見直しと適正化
改正案の施行前に、営業内容を精査し、違法の可能性がある手法を全面的に排除しましょう。特に、顧客への過剰な接待や心理的圧迫を伴う営業スタイルは厳しく見直す必要があります。どこからが色恋営業に繋がるのかまだ明確になっていないため、こちらは続報を待ちましょう。
2. 従業員への法令教育
従業員が改正された風営法を正しく理解し、適正な接客を行えるよう、研修やマニュアルを整備しましょう。特に新規採用者には、営業の境界線を明確に教えることが重要です。
3. 専門家への相談
改正案の内容を正確に理解し、法令遵守を徹底するためには、弁護士や行政書士など風営法の専門家に相談することをお勧めします。起こりえるトラブルに対応するためにはどうしたらいいのか相談にのってくれたり、営業に関する適正な手続きサポートを受けることができるので、安心して事業を運営できます。
まとめ
風営法改正案は、風俗営業業界の適正化を目的としており、特に「色恋営業禁止」「罰則強化」「系列店への営業制限」などが注目されています。この改正は、事業者にとって大きな課題となる一方で、業界全体の健全化につながる重要な機会でもあります。テレビなどの報道の仕方にも問題があると思うのですが、最近はホストクラブのイメージがかなり悪くなってしまっていました。今回の件は、ホストクラブのイメージを良くするための絶好の機会であると捉えることもできるかもしれません。
改正後の環境に適応するためには、営業内容の見直しや従業員教育の徹底、そして専門家のサポートを活用することが重要です。当事務所では、風営法に関する書類のご相談や営業許可の取得サポートを行っています。新しい規制に対応した事業運営を目指す方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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