【風営法×IT】オンライン化する風俗営業の法律対応とは?
風俗営業は、デジタル化が進む現代において、新たな形態として「オンライン化」が注目されています。その代表例が、映像送信型性風俗特殊営業です。この業態ではインターネットを活用したサービス提供が可能である一方で、風営法を含む法律対応がより重要になっています。
本記事では、映像送信型性風俗における具体的な法的対応や届出手続き、注意点について詳しく解説します。オンライン化を検討している事業者に向けて、合法的かつ安心して事業を運営するための指針となりましたら幸いです。
映像送信型性風俗特殊営業とは?
映像送信型性風俗特殊営業は、風営法上「専ら、性的好奇心をそそるため性的な行為を表す場面又は衣服を脱いだ人の姿態の映像を見せる営業で、電気通信設備を用いてその客に当該映像を伝達すること(放送又は有線放送に該当するものを除く)により営むもの」を言います。簡単にいうとインターネットを利用し性的な映像サービスを提供して収益を行う営業形態を指します(正確な表現ではないかもしれませんが、ここではわかりやすく書くためそのように説明します)店舗型風俗特殊営業(ソープランドなど)とは異なり、ライブチャットやオンデマンド動画を通じて顧客に配置したり、すでに撮影・編集した動画を公開・販売して収益を得る仕組みです。
ただし、この業態にも風営法が適用され、法律上の届出や規制を遵守しなければなりません。店舗型(ソープランドなど)や無店舗型(デリヘル)とは異なるルールが存在するため、しっかりと理解することが重要です。
オンライン化する風俗営業で必要な法律対応
1. 映像送信型性風俗特殊営業の届出が必須
映像送信型性風俗特殊営業を行うには、事前に警察署への届出が必要です。無届で営業を行うと風営法違反となり、厳しい罰則を受ける可能性があります。特に次のポイントを押さえておきましょう。
- 営業所の所在地に基づいて管轄警察署に届出を提出
- 所有者の建物使用承諾書、住民票などの添付書類が必要
- ホームページのURLなどの情報が必要
- サーバーの設置者・住所などの情報が必要
また、キャバクラなど接待行為を伴う飲食店を営業する際に必要となる風俗営業許可と違い、映像送信型性風俗特殊営業届出の場合は用途地域などの規制を受けません。これは、事業所内でサービスを行うわけではないためです。保育園や学校の周辺などの近くでも営業は禁止されていませんので、物件選びの段階では、所有者から映像送信型性風俗特殊営業に関する使用が可能かどうか、使用承諾書に押印いただけるかどうかを確認しましょう。池袋や五反田、新宿など、風俗店が多く存在している地域であれば風俗店専門のビルもあるため、そういった場所であれば使用承諾書の発行もスムーズかと思います。
2. コンテンツ内容の法的制約
映像送信型性風俗では、提供するコンテンツが法律に抵触しないよう注意が必要です。風営法だけでなく、刑法、公然わいせつ罪、青少年保護条例など、複数の法律が適用されます。
- 公然わいせつに該当する内容の禁止
過度に露骨な表現は刑事罰の対象となります。特に、無修正動画を配信したことを原因とする逮捕は後を絶ちません。動画配信を行う場合には過度な露出を控え、過度な露出を行う場合にはモザイク処理を施すなど適切な処理を行いましょう。 - 未成年の出演禁止
出演者が成人であることを確認するため、年齢確認手続きを徹底する必要があります。出演を依頼する場合には運転免許証のコピーや住民票の提出を求めるなどして、うっかり未成年を出演させないようにしましょう。なかには姉の免許証のコピーを用意し偽装して出演するケースもあると聞くので注意が必要です。 - 知的財産権の保護
音楽や映像素材を使用する際には、著作権を侵害しないよう注意しましょう。動画本編前にカラオケシーンを別撮りしていて、実際のアーティストの歌を歌っていたりするケースなども著作権侵害になる可能性があります。
これらのルールを守ることで、運営リスクを最小限に抑えることが可能です。
3. 個人情報保護への対応
オンラインサービスでは顧客やキャストの個人情報を多く扱います。個人情報保護法に基づく適切な管理体制を構築することが不可欠です。
具体的には:
- 個人情報の保存期間や利用範囲を明確にする。
映像を収録し配信したあと、いつまでその動画を公開するのかなど、動画の権利関係についても契約時に明確にしておく必要があります。 - サーバーのセキュリティ対策を強化し、不正アクセスを防ぐ。
不正アクセスにより大量の動画・個人情報が流出してしまうと、もはや回収不可能となってしまい、営業者によっても出演者にとっても大変な損失となってしまいます。 - 従業員や出演者に対して、個人情報取り扱いに関する教育を実施。
個人情報の取り扱いについて十分な説明・研修などを行い、契約書にも個人情報の取り扱いについて盛り込んでおくとよいでしょう。
情報漏洩が発生した場合、法的な責任を問われるだけでなく、顧客や出演者の信頼を失うリスクがあるため、徹底した対策が必要です。
4. サービス運営における透明性の確保
オンライン化する風俗営業では、顧客や出演者から信頼を得るため、サービス内容や事業者情報を明確にすることが重要です。特に次の情報を適切に公開しましょう:
- 事業者の名称および所在地
どこの事業者が運営しているかわからないと顧客も不安になります。
ある程度こちら側の情報を開示することによって、信頼度が増します。 - 利用規約や料金体系
サービス利用時の約款という形であらかじめ顧客に明示するケースが多いです。
ネット障害などの影響でサービスが一時的に利用出来なくなった場合の対応など、不足の自体が起こった場合の対応なども盛り込んでおくと顧客も安心して利用できるかと思います。 - 問い合わせ先(電話番号、メールアドレスなど)
何かあった場合の問い合わせ先が公開されていないと、顧客も安心して利用できません。
問い合わせ先を明確にし、問い合わせがあった場合は速やかに回答するように心掛けましょう。
メールなどの場合は、問い合わせから何日以内に返信を行うのか明治しておくと更なる信頼向上につながります。
このように透明性を高めることで、顧客満足度を向上させ、トラブルの予防につながります。
オンライン化する風俗営業のメリットとリスク
オンライン化には多くのメリットがありますが、それと同時にリスクも存在します。
メリット
- 収益モデルの多様化
昔は映像送信型性風俗特殊営業とは、主にアダルトメーカーが届出を行い営業していることが多かったのですが、最近では個人の配信者などが届出を行うケースが増えています。ライブ配信や動画販売、サブスクリプションなどの収益モデルが可能なのが特徴です。 - 広範な顧客層へのアクセス
地域の制限を受けず、全国や海外の顧客を対象に事業展開ができるため、軌道に乗った場合より多額の収益が見込めます。 - キャストの精神的負担の軽減
デリヘルやソープランドと違い、必ずしも不特定多数の者を相手に性的サービスを行う必要がないため、これらの業態と比較するとキャストの精神的負担が少なく済みます。なかには一人で配信を行う方や、夫婦やカップルで配信事業を行っている方もいます。
リスク
- 法的トラブルの可能性
届出やコンテンツ管理を怠ると、風営法や刑法違反となるリスクがあります。
すでに修正処理が行われた動画を配信する場合はともかく、ライブ配信事業を行う場合にはライブを行うキャストが過度な露出をしてしまわないよう、あらかじめキャストにしっかりと説明をするなどの対策が必要です。
また、顧客やキャストとのトラブルを防ぐため、契約関係をあらかじめ書面や約款などで明確にしておくことが重要です。 - セキュリティリスク
個人情報の漏洩やサイバー攻撃への対応が必要です。最新のウイルス対策ソフトを常にインストールしておく、重要ファイルにはしっかりとセキュリティキーをかけておくなどの対策をしましょう。 - 競争の激化
参入障壁が低いため、差別化が求められます。YouTubeなどを見てもらえばわかるとおり、最近は誰でも配信者になれる時代です。撮影機材にこだわったり、編集、シナリオ、キャストの選定など、独自性を出していかなければなかなか上位に上がることは難しいです。
法的対応をスムーズに進めるためのポイント
- 専門家に相談する
風営法や関連法規について詳しい行政書士や弁護士に依頼することで、トラブルを未然に防ぐことができます。手続き関連は風営法専門の行政書士が、法律相談は風営法専門の弁護士が対応してくれます。 - 適法な運営体制を構築する
届出手続きやコンテンツ管理を徹底し、法令を遵守することが重要です。もしご自身で対応が難しい場合は専門家への依頼を検討しましょう。 - 最新情報を収集する
法律や業界のトレンドを把握し、柔軟に対応できる体制を整えておく必要があります。
SNSやアダルト業界の交流会などのコミュニティに参加するなどして、情報交換できるようにしておくとよいでしょう。
まとめ
映像送信型性風俗特殊営業をはじめとするオンライン化する風俗営業は、事業拡大の可能性を秘めた新しい形態です。しかし、風営法をはじめとする法規制への対応を怠ると、重大なリスクを招く可能性があります。合法的かつ安全に運営するためには、届出手続きや個人情報管理、コンテンツの適法性を徹底することが必要です。
よろしければ下記のリンクも参考にしていただければ幸いです。
・映像送信型性風俗を始めるメリットとリスクとは?
・同人AV(自主制作AV)を配信するうえでの注意点
・同人AV(自主制作AV)出演契約書・同意書の作り方
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