相席居酒屋は風俗営業にあたる?風営法上の注意点を行政書士が解説

はじめに
「相席居酒屋」「相席ラウンジ」など、男女が自然に出会える場として人気のある業態ですが、実は風俗営業(風営法の規制対象)に該当する可能性があります。
運営方法によっては、無許可営業(無許可風俗営業)と判断され、営業停止や刑事罰の対象となるおそれもあります。
本記事では、行政書士の立場から、相席居酒屋が風俗営業にあたるかどうか、その判断基準と注意点を解説します。
相席居酒屋の営業形態と風営法の関係
相席居酒屋は、基本的に「飲食店営業許可」を取得した上で、男女がランダムに相席する仕組みを提供する形態が多いです。
この時点では、形式的には「飲食店」に分類され、風俗営業許可(風営法第2条第1項各号)は不要です。
しかし、次のような要素が加わると、風俗営業(接待飲食等営業)に該当する可能性が生じます。
風俗営業に該当する可能性があるケース
サクラ(擬似客)を雇っている場合
男女比を調整するために、店舗側が女性(または男性)を“サクラ”として雇用し、客と同席・会話させている場合、その「サクラ」は実質的に店舗の従業員とみなされます。
この場合、店舗側は「客に接待を行わせている」ことになり、
→ 風俗営業1号(接待飲食等営業) に該当する可能性が極めて高いです。
風営法上の「接待」とは、
客に対して歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと(例:特定少数の客の近くにはべり継続的に談笑の相手になる、客と一緒になってゲームをする、カラオケでのデュエットなど)
を意味します。
サクラが店の指示で客の相手をしている以上、これは「接待」にあたり、風俗営業許可(キャバクラ等と同様の許可)が必要です。
無許可営業と判断された場合のリスク
無許可で風俗営業を行った場合、
- 風営法違反(無許可営業)
- 【個人の場合】5年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金(または併科)
- 【法人の場合】5年以下の拘禁刑または3億円以下の罰金(または併科)
が科される可能性があります。
また、警察による営業停止命令や店舗閉鎖につながるケースもあります。
「飲食店だから大丈夫」と思っていても、実際の運営実態によっては風営法の適用対象になる点に注意が必要です。
まとめ:相席居酒屋の風営法対策は慎重に
相席居酒屋が風俗営業にあたるかどうかは、サクラの有無や接客方法などによって判断されます。
特に、サクラを雇って男女の相席を演出している場合は、ほぼ確実に接待行為あり=風俗営業とされるため、
風俗営業1号許可の取得が必要です。
許可を取らずに運営を続けた場合、摘発リスクが極めて高く、店舗の信用を失う結果にもなりかねません。
相席業態の開業を検討されている方は、早い段階で風営法に詳しい行政書士など専門家へ相談することを強くおすすめします。
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