風俗営業許可申請に必要な図面の作り方

キャバクラやバーなどの営業を開始するには、風俗営業許可申請や深夜酒類提供飲食店営業届出を事前に所轄警察署に出す必要があります。

その際に要求される添付書類のなかでも、作成する難易度が最も高いと言われているのが図面です。

図面と一口に言っても作成しなければならない図面は複数あり、営業所周辺略図、1階平面図、入居階平面図、営業所求積図、客室求積図、照明音響設備図等の作成が必要になってきます。

警察署ではもちろん、営業者さんが自分で作成した図面でも受付けていますが、不備や間違いがあると補正を求められその結果何度も図面を作り直しては警察署に出しに行くはめになります

こんなことで時間を取られてしまっては、いつからお店をオープン出来るようになるのかわかりません。

開業前で色々と準備をしなければいけないなか、図面作成をしている余裕はあるでしょうか?

不動産屋や内装業者などが作った図面ではいけないのか

結論から申し上げますと、かなり難しいです。

風俗営業許可申請で求められる図面というのはかなり特殊で「客室と調理場の求積方法は内法」「計算は小数点第4位で計算し、最終表記は第2位とする」「営業所にとは、営業の用に供される建物で、ドア、窓、壁、天井、床にかこまれた範囲で、第三者がいつでも出入り可能な場所は含まない」「エレベーターホール、ベランダ、バルコニー、パイプスペースは営業所面積から除外する」など、風俗営業独特の条件が付されています。

また、風俗営業許可申請の場合は申請後しばらくしてから浄化協会(警察OB)や警察の方が店舗に訪問し実査と呼ばれる検査を行います。

照明・椅子・テーブルなどの設備の数や位置に誤りはないかを確認するだけでなく、実際にレーザー測定器を使用して求積が正しく行われているかの確認もされます。

この時に数センチ誤差があったりすると許可は下りません

不動産屋や内装業者などが作成した図面だと大体の場合は誤差があります。

見落としがないように細かく計測し、計測した数値通りにしっかりと求積しなければ実査はクリア出来ないのです。

このような図面の作成は行政書士の中でも出来る人が限られてくるため、風俗営業許可に精通している風営法専門の行政書士でなければかなり厳しいでしょう。

平面図、求積図、設備図の作り方

計測に必要な道具ですが、レーザー測定器メジャーA3サイズの用紙を何枚か(不動産屋や内装業者が作成した図面が手元にある場合はそれを参考に)用意しておきましょう。

店舗の内法は基本的にレーザー測定器で測り、細かい部分や椅子などの備品はメジャーを使用します。

測定して出た数値は、あらかじめ用意しておいたA3用紙又は業者が作成した図面に直接書き込んでください。

実際に図面に起こしていくには手書きよりも、JWCADなど無料の図面作成ソフトを利用して作成していくのが望ましいです。

この時、客室は赤色の線調理場は緑色の線営業所は青色の線で囲んでそれぞれ求積してください。

この時注意しなければならないのは、客室と調理場は内法で求積しますが、営業所面積だけは壁芯で求積しなければならないという点です。

内法での求積に壁の厚み分を後から足して計算したり、JWCADの測定機能等を上手く使って壁芯からの面積を求めていきましょう。

照明や音響設備などは位置やライトの種類だけでなくワット数も記載してください。

バーカウンター下や食器戸棚に設置されているような間接照明は見落としがちなので注意しましょう。

いくら丁寧に作ったとしても、警察の方が見た時によくわからないような図面では許可が下りませんので、図面に数値を落とし込んでいくだけでなく、求積計算表も用意して警察の方が見た時に理解しやすいように書類を作成していくのがポイントです。

営業所周辺略図の作り方

一から作成していくのは骨が折れますので、まずはゼンリンの住宅地図(縮尺は1000分の1)を入手します。

使用する際は複製許諾シールを忘れずに貼ってください。

用途地域に合わせて営業所を中心として円で囲うように10m、20m、50m、100mの線を引いていきましょう。

コンパスや定規などを使って手書きで書くことも出来ますが、私の場合はillustratorを使用しています。

ゼンリンの住宅地図をパソコンに取り込んで営業所をペンツールで囲ったあと、パスのオフセット機能で距離を入力するだけで同心円を描くことが出来るので非常に便利です。

距離を示す円を描き終わったら、用途地域を蛍光ペンやillustratorのペイントツールを使用して色分けし、用途地域や営業所の名称、保全対象施設を記載します。

営業所の場所はわかりやすく赤線で囲い、保全対象施設には数字などをふって一覧表も一緒にしておくと見やすいです。

用途地域については市や区の都市計画課ホームページ等で、保全対象施設については区役所の情報コーナー等の窓口で見せてもらえる医療機関名簿を見たり、実際にその地域を歩いて学校や図書館などがないか調査していきましょう。

最後に

風俗営業許可申請で作成する図面を自分で作成するのは大変手間がかかります。

上記に記載いたしました情報や他のサイト、警察の意見などを参考に(直接相談に行く際は必ず電話をしてアポを取ってから行きましょう。書類に関する相談を一切受け付けていない所轄警察署もあるので注意してください)、一度ご自身でやってみるのもひとつの手です。

それでもし、図面や申請に関してわからないことがございましたらいつでもご相談くださいませ。

その際は当事務所が責任をもってサポートさせていただきます。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。