深夜における酒類提供飲食店営業(バー)の要件

今回は深夜における酒類提供飲食店営業についてお話させていただきます。

業界用語では略して深酒(フカザケ)と呼んだりもします。

深夜0時から6時までの間に酒類の提供をメインで行う営業形態ですとこの届出が必要になってきます。

しかし、あくまでお酒の提供がメインであることが条件となるため、主食をメインに提供している24時間営業のファミレスなどは該当せず、届出は不要となります。

また、風俗営業や特定遊興飲食店営業とは違いますので、接待行為を行ったり、深夜に客に遊興をさせることは出来ません。また、原則深夜酒類提供飲食店営業と併用して風俗営業許可を取得することも出来ません(営業形態を分離させる方法などにより認められたケースもございますので、まずはご相談ください)

時々、無許可営業でガールズバーの経営者が逮捕されてしまうニュースを目にしますが、これは深夜酒類提供飲食店営業の形態で、接待行為を行ってしまったことによるものがほとんどです。

ご自身が目指す営業形態に合わせて、どちらを取得するかお決めになられるのがよいでしょう。

では早速、深夜酒類提供飲食店営業の要件を見ていきましょう。

1.人的欠格事由

風俗営業許可と違い人的欠格事由に関する規定がないため、過去に風営法違反などで刑に処せられてしまった場合であっても、5年の経過を待たずに営業者となることが可能です。

※ただし、外国人の方が営業者となられる場合は入管法上制限される場合があります。

2.営業所(店舗)の構造と設備基準

(1)客室の面積が9.5㎡以上あること。(ただし、客室の数が1つの場合は、9.5㎡以下でもOK)

 また、客室が2つ以上ある場合は、それぞれの部屋が9.5㎡以上である必要があります。

(2)客室の内部に見通しを妨げる設備(高さ1m以上のもの等)を設けないこと。
客室内に高さ1m以上のもの、たとえばつい立てや観葉植物などを置いてしまわないように注意する必要があります。

(3)善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと。
猥褻な写真やものなどを、店内に置いておかないようにしましょう。

(4)客室の出入口に施錠設備を設けないこと。ただし、営業所の外に直接通じる客室の出入口については施錠設備を設けても問題ありません。

(5)営業所内の照度が20ルクス以下とならないこと。
20ルクスというのは、だいたい10m先の人の顔、行動が識別できて、誰であるかわかる程度の明るさです。

(6)騒音、振動の数値が条例で定める数値に達しないこと。

3.営業所(店舗)の場所的基準

営業所(店舗)がある用途地域が、第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域、第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域、第1種住居地域、第2種住居地域、準住居地域、田園住居地域のどれかに該当しないこと。
用途地域は、都市計画図を閲覧したり、各地域の都市計画に直接問い合わせることによって調べることができます。

その他の規制

(1)接待行為を行わないこと。

(2)深夜に客に遊興をさせないこと 

※深夜に客に遊興をさせたい場合は深夜酒類提供飲食店の届出ではなく、特定遊興飲食店営業許可が必要になります。

まとめ

風俗営業許可と比較すると若干ハードルは低いものの、様々な制約があることをご理解いただけましたでしょうか。

この記事をご覧になられているあなた様がもし、深夜酒類提供飲食店をこれから始めようと考えていらっしゃるのであれば、こういった制約があることを十分理解された上で始められるのが賢明かと思います。

もし分からないこと聞きたいことなどがございましたら、いつでもニュクス行政書士事務所までお問い合わせくださいませ。